【After Effects】回転アニメーションでイラストを動かす方法

2024年 4月17日 Posted 藤野(デザイナー)

After Effectsで静止画イラストを動かす方法を紹介します。今回は2種類の回転アニメーションをつける方法を解説していきます。

下記のベクター素材(Adobe Stock:536895309)を使用し、イラストに動きをつけていきます。

パーツごとに分けた回転アニメーション

まずは、人間の腕など、一部のパーツのみを回転させたい場合のアニメーションを紹介します。

事前準備:イラストをパーツごとに分ける

初めに使用するイラストをパーツごとに分割します。After Effectsのマスク機能やPhotoshopなどを用いて分割する方法もありますが、今回はIllustratorで作成されたデータを使用するため、あらかじめIllustrator上でレイヤーを分割しておきます。

それでは、Illustratorで、配置してあるオブジェクトをレイヤーごとに分ける簡単な方法を説明します。

1.使用するイラストがグループ化されている場合には、初めにグループを解除しておきましょう(イラストを選択した状態で[オブジェクト]からグループ解除を選択)。

2.レイヤーパネルの右上にあるハンバーガーメニューをクリックします。

3.サブレイヤーに分配(シーケンス)を選択します。

4.分配したサブレイヤーを、サブレイヤーが入っている親レイヤーから外に出し、空になった親レイヤー(図中のLayer1)は削除します。

After Effectsに移った後の作業を行いやすくするために、自分で分かりやすいレイヤー名をつけておくことをおすすめします。完了したらaiデータとして保存しましょう。保存時には、オプションの「PDF互換ファイルを作成」にチェックを入れておきます。以上で事前準備は完了です。

ファイルの読み込み

After Effectsでの作業に移ります。新しく動画を作成する場合は[新規プロジェクト]をクリックしてください。
ファイルを読み込む前に、After Effectsの作業パネルを簡単に紹介します。下記画像のようにパネルが分かれており、自分で使いやすいようにカスタマイズすることも可能です。こちらの画面はAfter Effectsの標準ワークスペースとなっており、上部のメニューバーから[ウィンドウ]>[ワークスペース]>[標準]にチェックを入れることで、画像と同様の配置にすることができます。

では、ファイルを読み込んでいきます。左上にある[ファイル]メニューから[読み込み]>[ファイル]をクリックし、先ほど用意したaiデータを選択します。読み込みの種類は「コンポジション」になります。フッテージのサイズは「レイヤーサイズ」を選択し、「OK」をクリックします。

データをフォルダーから直接プロジェクトパネル内にドラッグ&ドロップで追加することもできます。

プロジェクトパネルに入った素材をダブルクリックしますと、タイムラインパネルに素材が反映されます。

イラストにアニメーションをつける

まずはイラストを動かすための軸を決めます。今回は人間の腕を動かしたいですので、関節部分を軸とし、アンカーポイントを軸としたい箇所(関節部分)に移動させます。

1.コンポジションパネルのオブジェクト、もしくはタイムラインパネルのレイヤーをクリックして、動かしたいオブジェクトのアンカーポイントを表示させます。

2.上部のツールバーにあるアンカーポイントツールを選択し、中心に表示されたアンカーポイントをドラッグして軸にしたい箇所(下記画像では肩)に移動させます。

回転ツールで回転させて、どのように回転させられるか確認してみましょう。

3.上記画像でアンカーポイントを移動させた男性の右腕を動かしていきます。腕と手の先のパーツが分かれている場合は、作業を行う前にそれぞれのレイヤーを選択し、[右クリック]>[プリコンポーズ]しておくと一緒に動かすことができ、作業がラクになります。

タイムラインパネルにある該当レイヤー(男性の右腕)の[>]マークをクリックします。[トランスフォーム]が表示されたら、その左の[>]をクリックします。
トランスフォーム下の[回転]の左にあるストップウオッチのマークを押します。

すると、右側にあるタイムライン上に◇の形をしたキーフレームが出てきます。
青い縦線のライン(時間インジケーター)を任意の場所に移動させ、回転ツールを使いコンポジションパネル上で男性の右腕を回転させます。すると、先ほど時間インジケーターを移動させた場所にもキーフレームがつきます。

プレビューで再生して確認してみましょう。

男性の右腕を動かすことができました。

回転させ続けるアニメーション

二つ目に、常に回転させ続けたいものがある場合の回転方法を紹介します。

1.タイムラインパネルにあるレイヤーから、回転させ続けたいオブジェクトを選択します。選択できたら、一つ目に紹介した方法と同様、[トランスフォーム]から[回転]の項目を表示させます。

2.[回転]の項目を右クリックし、メニューの[エクスプレッションを編集]を選択します。

3.[回転]の項目の下に[エクスプレッション:回転]の項目が追加され、タイムラインには「transform.rotation」のコードが記述されています。このコードを「time*50」に変更します。これで、オブジェクトが1秒間に50度回転します。数字の部分は任意の数字に変え、回転の速度を調節することが可能です。

まとめ

2種類の回転アニメーションを使って、静止画イラストをこのように動かすことができました。最初に紹介した「パーツごとに分けた回転アニメーション」で、男性の腕・女性の腕と髪・植物の葉を動かし、二つ目に紹介した「回転させ続けるアニメーション」で、三つの歯車を動かしています。少しでも参考になれば幸いです。

最後にまとめ画像のアニメーションに使用したそれぞれの角度など(下記画像赤枠・緑枠に該当する数値)を記載しておきますので、同様に作成したい場合は参考にしてください。

【パーツごとに分けた回転アニメーション】(画像赤枠の数値)

男性の右腕 0x-88.9°(0;00;00;00)→0x-8.8°(0;00;02;10)→0x-88.9°(0;00;04;29)
男性の左腕 0x+0°(0;00;00;00)→0x-58.1°(0;00;02;01)→0x+0°(0;00;04;29)
植物の葉(中心) 0x+2.3°(0;00;00;00)→0x+14.5°(0;00;02;28)→0x+2.3°(0;00;04;29)
植物の葉(右) 0x-8.4°(0;00;00;00)→0x+4.8°(0;00;01;12)→0x+10°(0;00;03;00)→0x-0.2°(0;00;04;08)→0x-8.4°(0;00;04;29)
植物の葉(左) 0x+0°(0;00;00;00)→0x+18.1°(0;00;02;10)→0x+0°(0;00;04;29)
女性の髪 0x+0°(0;00;00;00)→0x+13°(0;00;01;24)→0x+0°(0;00;04;29)
女性の腕 0x+0°(0;00;00;00)→0x+127°(0;00;02;12)→0x+0°(0;00;04;29)

【回転させ続けるアニメーション】(画像緑枠の数値)

歯車上 time*50
歯車右・下 time*30